いわき市立美術館 Iwaki City Art Museum

1984年、福島県いわき市の街中に開館。戦後の現代美術を主な収蔵品として、コンパクトながらパワフルな活動を展開しています。日ごろのあれこれを発信中!

現代アートの輝き展 総選挙!

いわき市立美術館のコレクション大放出の「現代アートの輝き」展では、

あわせて投票企画も実施しています。その名も…


現代アートの輝き展総選挙!!!


展示作品のなかからあなたの「推し」を見つけて投票しよう!
というものです!



どのくらい投票してもらえるかな…という不安は杞憂に終わり、

展覧会開始当初からかなりの投票率をマークしています。


難しい。よくわからない。

が先にきがちな現代アートの垣根を取り払おうと、あえて「難しいことは抜きにして」

ピーンと来たものを選んでもらったためでしょうか。

寄せられるコメントがとても面白いのです。

美術館一階の選挙速報コーナーや館公式ツイッターでも紹介していますが、

ここでは長文のコメントを紹介させていただきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  アントニー・ゴームリー《見ることを学んでいる》
  人は背負っている物が多いはず。それぞれの人生色々あるけど
  いつも立つしかないんだ
  どんな事が前に来てもずっと立つ…戦争が起きても…震災で悲しいことを知っても…
  人は生きていかなければならない
  55歳女性

→作者自身から型を取った等身大の彫刻作品。
 鉛でできたこの立像は、まっすぐに前を向き、直立不動でそこに静止しています。
 「人は背負っている物が多い」というコメントを読んで、その鉛の肩の上に
 色々なものが見え、はっとさせられました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  ホルスト・アンテス《家族》
  家族をシンプルな形で表現している。
  エジプトのピラミッドの壁画を連想させる。
  普遍的なものを感じる。
  60歳女性

→アフリカや北米の先住民の文化に影響を受けたアンテス。
 たしかにどこか古代の壁画のようなプリミティブな雰囲気があります。
 彼が描く「頭足人」と呼ばれるモティーフの大きく穏やかな目は、
 時空を超えた遥かかなたを見つめているようです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  鈴木芳子《ある一族の肖像》
  ある一族、全員の表情が不穏。胸の内を聞いたら恐ろしそう。
  そんな中で育った彼女を思うとつらい。
  一番インパクトがあった。
  46歳女性

→複雑な家庭環境で育った作者は、負の心境を画面にぶつけるように
 家族を中心とした迫力に満ちた人物像を描きました。
 コメントで書いていただいた通り、この作品の感想で多いのは
 「とにかく不穏」。でも多くの人が共感しているのです。
 誰もが持っている負の心情に訴えかけ、解放してくれるからかもしれません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  イヴ・クライン《人体測定 ANT66》
  近くで観た時、離れて観た時の表情が違って見える。表面的では無く
  内面からの神秘性をまとっていて、素敵な作品。
  19歳男性

→作家自身が開発した「クライン・ブルー」という顔料を使って制作された作品。
 鮮やかなブルーが展示室に神秘的な空気をもたらしています。
 横に長く大きな画面だからこそ、立つ位置によって見え方も違います。
 神秘思想や宇宙論に関心を持っていたイヴ・クライン
 「内面からの神秘性」とはまさに鋭い指摘です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


いかがでしたでしょうか。
Twitterや美術館ロビーで投票された方のコメントをチェックしてみてください!