いわき市立美術館 Iwaki City Art Museum

1984年、福島県いわき市の街中に開館。戦後の現代美術を主な収蔵品として、コンパクトながらパワフルな活動を展開しています。日ごろのあれこれを発信中!

第43回いわき市美展絵画・彫塑の部審査結果

本日、第43回いわき市民美術展覧会「絵画・彫塑の部」の審査が行われました。審査員は山口実(美術家)さんです。

まず、搬入点数からお知らせしますと、
一般応募が196点(内、青少年22点)。昨年度と比べて14点増!
招待出品が18点(内、遺作展示1点)。昨年度と比べて4点増。
搬入総点数は214点で、今回は前回に引き続き落選がなく、展示点数も214点です。
今回は美術館が空調設備の改修工事で今秋から1年ほど休館するため、半年ほど前倒ししての開催で、前回の市美展からの準備期間が例年よりも短いにもかかわらず、応募点数が14点も増えました。すばらしいことです! いわきの美術界の底力を見せられたようにも感じました。

入賞者一覧につきましては、次のページ下部からPDFファイルをご覧ください。
http://www.city.iwaki.fukushima.jp/kyoiku/museum/008306.html
受賞者のみなさま、おめでとうございます!

それでは、三賞について審査員の山口さんのコメントを添えて紹介します。


いわき市長賞は松澤哲也さんの「車窓から6月」です。審査員の山口さんは次のように評しています。
「力強いリアリティーのある作品です。梅雨の雨間に曇り空の裏から太陽が差し出した瞬間をとらえた景色で、前の2台の車の強い陰影と雨上がりで反射する路面。作品としては小ぶりで色数も少ないですが、作者がその時感じた情景と感情がうまくマッチしたものがストレートに伝わってきます。このような場面はスナップ写真のようになってしまいそうですが荒削りの技術が技法に流されない上質のものにしています。」


いわき市議会議長賞は杉本正春さんの「竜串海岸」です。審査員の山口さんに次のように評されています。
津波の象徴のように感じられる情景が、明るく描かれていて全体が超現実的な世界に見える作品です。磯の岩の上に男女が震災に会った家族を捜しているようにも見えるが、画面から受ける印象は乾いていて明るい。しかし磯遊びにしてはあまり楽しそうには見えない。あの時現場に遭遇した人々の受け止めきれない感情は、このような表現で仮象されるのかと思います。」


いわき市教育委員会教育長賞は平子貞男さんの「儘(きまま)」です。審査員の山口さんに次のように評されています。
「造形的に巧みなテラコッタで作った根源的な生命を感じる半身像です。目鼻も腕も省略されていることで、見る側にあえて表現してないところを喚起します。胴回りが太く腹を突き出していて、そこに指で作ったと思われる縦線が、まるで植物を思わせる有機的に入っていて、焼成するときにできた黄色い土色と、煤の黒い色が絶妙にマッチしています。」

展覧会は、7月27日(土)から8月4日(日)までです(月曜日休館)。金曜日は午後8時まで夜間開館します。みなさんのご来館をお待ちしております。